水墨画の世界を観てください Take a look at the world of Japanese ink painting.
日本の美の根源「状況の美」
日本人の美意識は形よりも、どのような状況に美が生まれるか、という感性を大切にしている。それは「実体の美」に対して「状況の美」と言うことができる。
The Japanese sense of beauty places more importance on sensitivity to what kind of situation creates beauty than on form. It can be said to be the ``beauty of the situation'' as opposed to the ``beauty of the substance.''
清少納言の『枕草子』において、「春は曙、やうやうしろくなりゆく山ぎはすこしあかりて・・・」というようにそれぞれの季節の最も美しい姿を鋭敏な感覚で捉えた「状況の美」の世界がある。
状況の美はうつろいやすいもの、はかないものという感覚である。中国の空間意識が日本人の美意識の根底にあるが、日本独特の曖昧さが美意識におおいに関わっている。
ドナルド・キーン著『日本人の美意識』の中で、暗示・余情・いびつさ・不規則性・簡潔・ほろび易さなどを曖昧さによって調和させ、想像力を広げられる余地を許すと言っている。
また、岡倉天心が日本画について「現実の世界を正確に再現するものではなく、あるいはそれだけでなく、見る者の心に深い感慨を呼びさますような暗示性を具えたものでなければならない。」と言明している。